それから

ちょいと読んでかない?

宝物のような写真家ーーソール・ライター

あなたは写真を撮られることが好きだろうか? 私は控えめに言って大の苦手だ。嫌いだと言ってもいい。そもそも、被写体として写真のプロでもない人に自分の一瞬の時間を切り取られるのが好きじゃない。その理由には大きくふたつあって、 その1. 思い出を写真…

誰かと一緒に暮らすことの尊さーー「結婚の奴」能町みね子

結婚の話は続く。能町みね子さんの「結婚の奴」を読んだ。とても面白かった。 出会ってから恋愛という名のお付き合いをして結婚に至る……。 そんな世間の「常識」に違和感を抱いているすべての人に読んでいただきたい一冊。結婚の奴作者:能町 みね子出版社/メ…

結婚の才能

結婚するには才能がいる、と最近強く思う。 * * * 昨年の暮れ、付き合っていた恋人と別れた。理由は恋人に「結婚する気はない」と言われたから。薄々感づいてはいたけれど、言葉にしてはっきりと伝えられると流石に堪えた。堪えたことにより、自分は思っ…

バンドが解散するということ

あなたには、解散して欲しくなかったバンドはあるだろうか? 2019年が終ろうとしている。 無性に何か文章を書きたくなって、きっとこれが今年書く最後のブログになるだろうから(と言うほど更新なんてしていないけど)、何を書こうかなと考えた時に、そう言…

大人も悩みながら生きていく――「大人は泣かないと思っていた」

大人は泣かないと思っていた作者:寺地 はるな出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/07/26メディア: 単行本主人公は同年代・独身、舞台は私自身の地元九州の田舎町がモチーフということもあって非常に刺さりました。 この物語の舞台になっている架空の町「耳…

絶望からの脱出(オナラで)――「スイス・アーミーマン」

スイス・アーミー・マン(字幕版)発売日: 2018/02/21メディア: Prime Video あらすじ(「ぴあ映画生活」より引用) 海で遭難して無人島へ流れ着いたハンクは、いくら待っても救助が来ず、絶望の淵に立たされていた。自ら命を絶とうとしたそのとき、彼は海岸で…

究極の不潔な恋愛映画――「彼女がその名を知らない鳥たち」

彼女がその名を知らない鳥たち発売日: 2018/04/25メディア: Prime Video あらすじ(「ぴあ映画生活」より引用) 8年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、15歳年上の貧相な男・陣治の稼ぎで働くこともなく生きていた。ある日、黒崎を思い出させる妻子…

私が信じているもの――「沈黙-サイレンス-」

沈黙 -サイレンス-(字幕版)発売日: 2017/07/12メディア: Prime Video あらすじ(「ぴあ映画生活」より引用) 17世紀、江戸初期。日本で捕えられ棄教したとされる宣教師フェレイラを追い、激しいキリシタン弾圧下の長崎に潜入したロドリゴとガルペ。彼らは日…

令和のはじまりに寄せて

長い休みは嫌いだ。普段から外出が好きで、活動的な人にとっては嬉しいのかもしれないが、抑うつ気味で、ここのところ休日になると寝たきりになってしまう自分にとっては、起き上がれない自分の体と心を仕事という強制イベントで紛らわすこともできず自己嫌…

自分より年下のミュージシャンの音楽を聴くということ

つい最近、職場で同僚と最近聴いている音楽の話をした。偶然にも、お互い聴いていたのがわりと若いアーティストだった。最近の若い人、良いよね。そんな風に言い合っていると、同僚がこう呟いた。「自分より若いミュージシャンの音楽聴くのに抵抗があったけ…

無理ゲーなんだよな。

ここのところ体調が悪い。 ここで言う「体調が悪い」というのは、体が鉛のように重くてだるくて何もする気が起きないことを指す。 まあ、はっきり言ってしまうと、うつ病の症状だ。うつ病というと、経験がない人は精神的な不調を思い浮かべるだろうけど、実…

見知らぬ町と雪の降る音

とても、ご無沙汰しております。* * *年末に新幹線で九州の実家に帰った。首都圏から九州に帰るのに、新幹線で行く、と言うと、「えっ、なんで飛行機に乗らないの? 時間かかるじゃん」と驚かれることが多いけれど、私は新幹線の窓から眺める見知らぬ町(…

パラレルワールド

ふとLINEを開くと、とある知人男性とのトーク画面に、「メンバーがいません」という文字が浮かんでいた。男性とは前職に勤めていた時に知り合い、私が新しい仕事についた後も時々LINEで他愛もないやり取りをしていた。「メンバーがいません」という状態にな…

MAGICAL WORLD

「人間界、生きづらいです」というのは鬼束ちひろの言葉である。 今から4年くらい前の発言なので、彼女の年齢は30歳を超えていた。私も30歳を超えて、同じことを思っている。むしろ歳を重ねるごとにその感覚は増すばかりだ。人間界が生きやすい人にとっては…

Man In The Mirror

長くブログを書くことをしていなかった。 昨年の6月に転職をして、新しい仕事を覚えることに必死だったというのがいちばん大きい。仕事が忙しくなると、自分から何かをアウトプットする行為が激減する。目の前の作業の処理に追われてしまい、何かを創作する…

「ソルファ(2016)」のラストトラックが「海岸通り」であることの私なりの解釈と、アジカンから受け取ったメッセージについて

ソルファ (2016)(通常盤)アーティスト:ASIAN KUNG-FU GENERATION出版社/メーカー: KRE発売日: 2016/11/30メディア: CD最近、もう一つのブログでこんな記事を書いた。 ijimerarekko.hatenablog.jp その中で私は、こう言い切っている。 「私はいつも、『今が自…

最良の距離ーー「海街diary」

海街diary発売日: 2015/12/16メディア: Amazonビデオこの商品を含むブログ (2件) を見る あらすじ(「ぴあ映画生活」より引用) 鎌倉で暮らす三姉妹、幸、佳乃、千佳の元に、15年前家を出ていったきり一度も会っていなかった父の訃報が届く。葬儀のため山形…

骨盤と人生

最近、ダイエットをして約8kg体重が減った。これくらい体重が減ると、さすがに自分でも身体が薄くなったと感じる。顔とか、お腹とかはもちろんだが、意外にもいちばん痩せたことを実感する部位は、骨盤である。違う、骨盤は痩せてないな、骨盤の周りの肉が減…

絶対に死にたいと歌わないバンドーー映画「オアシス:スーパーソニック」

オアシス:スーパーソニック(字幕版)発売日: 2017/03/22メディア: Prime Video あらすじ(「ぴあ映画生活」より引用) 1991年に結成され、わずか数年後にロック界の頂点へと上り詰めたオアシス。ギャラガー兄弟への新たなインタビュー、他のバンドメンバーや…

映画「ヒトラーの忘れもの」を見て、長崎で育った私が感じたこと

ヒトラーの忘れもの(字幕版)発売日: 2017/06/06メディア: Prime Video 概要(「ぴあ映画生活」より引用) デンマークのアカデミー賞にあたるロバート賞で作品賞など6部門を制した歴史ドラマ。第2次大戦後に捕虜になったナチス少年兵たちがたどる凄惨な運命を…

恋は立ちのぼるもの

以前書いた記事(脆弱な未来 - それから)の中で、私が他の男性とデートしそうになった時、「複雑です」と言った男性と、デートをしてきた(ややこしいな)。 イタリアンを食べて、コンサートに行っただけだけれども、デートといって差し支えないと思う。い…

脆弱な未来

「デート(のようなもの)に誘われたんですけど、いざ誘われるとおしゃれとかするのがめんどくさいです。でも行った方が良いとは思うんですよ。なので背中を押してください」 と、とある男性にLINEを送ったら、 「なんかちょっと複雑です」 と言われた。「『…

生き残りしもの

半年に一度くらいのペースで、断捨離ブームが訪れる。 とにかく捨てる。なんでも捨てる。1K=キッチン2畳、居間兼寝室6畳の狭いこの我が城に詰め込まれた服、小物、本などの内、もうこの城の王たる私に見限られたものたちをどんどん粛清していく。この大…

ビートルズなんて知らない

昨年姉が結婚いたしまして。で、早くも今月姪っ子が誕生する予定です。めでたい。とてもめでたい。 で、まあ、それ自体には何の問題もないのですが、ふと思ったことがありまして。 それは、姪っ子は、ビートルズを知ることになるだろうか? ということ。 と…

Backstreet BoysとV6の不思議な共通点と、そこから見るチームプレイの素晴らしさ

このブログやTwitterを読んで下さった方には、もしかしたら私(ココルカ)は「ロックバンド」とされる人たちの音楽が好きなんだと思われているかもしれないけれど。そしてそれは決して間違いではないのだけれど。実はそうじゃない人たちの音楽(とパフォーマ…

ミュージシャンにお腹の鳴りやすい人はいないのか

夜、湯船に浸かりながら、「カウントダウンTVをご覧の皆さんこんばんは、◯◯です」って何回か練習したことあるくらいには阿呆な私であるが。そんなことをしてしまうくらいミュージシャンという職業に憧れを持っているということでもあり。それゆえか最近、こ…

OKAMOTO’Sの番組「オカモトーーーク!」が面白い

人間には大きく分けて二種類の人間が存在する。 それは、「自分の好きなものについて他人に説明するのが好きな人間」と、「そうではない人間」だ。 こんなブログをちまちまと書いて日本語のみと言えど全世界に大公開している私は、間違いなく前者なんだろう。…

曇天の旅

職場の人から、結婚の報告を受けた。夫婦になる二人は、共に自分と同じ部署の人で、実におめでたいと思った。自分でも驚くほど嬉しくて、興奮してしまって、同じく同僚の後輩(20代男)にこんなLINEを送った。 「某さんと某さん結婚するんだってね! お似合…

いじめられていた私が流した、心の血

中学二年生の男の子がいじめを苦に自殺したと思われ、それに関する報道が連日行われている。報道を見聞きする度、私の心は痛む。何故なら私も小学生の時にいじめを受けた身だからだ。世の中の「いじめられたことがない人」が同じ報道を目にした時とは、どう…

仕事の化学反応

珍しく仕事の話でもしようか。前回の記事(救いてえんだよ - それから)で書いた「先輩」が、ついに私たちのいるフロアから完全にいなくなった。そしてその先輩の不在で気づいたことがある。私は、あまりにも仕事が出来る人が至近距離にいると成長しないタイ…