それから

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書くということ、話すということ

私にとって書くという行為は、喜びと恐怖が渾然一体となった厄介なものだ。というのも、私は常々私の心の箱にしまってある言葉(とそれに付随するアイデア)は有限だと思っていて、だからその言葉の備蓄がなくなってしまうことが怖いのである。
だけどそれでも文章を書くことは素晴らしい。たとえ備蓄がなくなるかもしれない恐怖があったとしても、だ。

それはもしかしたら私が、「話す」という行為が少し苦手なのも関係しているかもしれない。
私は物事を順序立てて、要所をかいつまんで口で説明するのが苦手だ。仕事の時に、「何を言いたいのかわからない」と言われたことが多々ある。そんな時は、目の前が真っ暗になった気がする。
書くという行為がどんなに得意だったとしても、話すという行為が苦手なら、その逆の人よりもこの世は生きづらい。生きづらく出来ている。社会人になって少ししてそのことに気がついた時、私はもうほとんど絶望といっていいくらいの衝撃を受けた。そしてそれは今でも完全に消え去ることはない。

それでも、人は話すしかなく、努力を重ねればそれなりに体系的なものも見えてきて、話術が向上する。あるときまでは、私はそう信じて疑わなかった。

でも、ここ最近、どう考えても自分は「話す」という行為を人並以上にできていないんじゃないかと不安にかられて、発達障害のテストを病院で受けることにした。
もし、発達障害だったら……なんだかある意味ほっとするかもしれない、などと思いながら、テストを受けた。

病院のかわいいお姉さんが、『「無尽蔵」とはどういった意味ですか?』などと質問してくるので、その単語の意味を口に出して言葉で答える。自分が辞書になったかのような気がした。
中には、雰囲気ではわかっているのに、言葉としてうまく意味を説明できない単語もあった。そんな時は、自分の語彙の貧困さや話の下手さに、大きく落胆した。これはやはり、自分自身に問題があるのだと思った。

ほかにも、イラストの描かれた6〜8枚ほどのカードを並び替え、一つのストーリーを作ったり、色のついたブロックを見本と同じように並び替えて完成させるなどのテストを3時間ほどかけて行った。終わったあとには、奇妙な達成感があった。これで何かから開放されるという思い。別にこのテストを受けたからといって、なにかが好転するとは限らないのに、なにかから解き放たれるような気がしたのだ。

結果はというと、私は発達障害ではなかった。むしろIQ的には平均より少し高いです、という言葉をもらった。
良かった、という安心感と、これでまた私の不安の原因がわからなくなった、という落胆が入り交じって、私はなんと言っていいのかわからなかった。

「言語能力がとても高いです。ただ、少し『言い換え』が苦手かな。『それってどういう意味?』と相手に言われたときに別の言葉で言い換えるのが。ただ、あなたは他の人よりもたくさんのイメージを持っていると思う。それを言葉にするのが少し難しいだけ。知識もあるので、それを伝えられるようになればいいと思う」
大体そのようなことを言われた。言語能力が高いと言われたのは嬉しかったけど、言い換えが下手というのはズバリ自分でも思っていたことだったので少し落ち込んだ。

結局、私は落ち着いて、腰を据えて言葉を紡ぐことは得意でも、誰かを相手にして話をするのはパニックになってしまうようで、少し苦手だ、ということだ。まあ分かっていたことだけど、こうしてテストを受けて改めて言われると頭の中の疑問が整理される感覚はあった。

というわけで、現時点ではなんの解決もしてないわけだけど、それでも、私には一つだけ決めたことがある。
それは、この結果を受け止めて、文章を書くのが得意だということを受け入れ、誰かに伝えていこうということだ。そしてもちろん、話すことが苦手だということも受け入れて、少しずつ言葉で誰かに伝えていこうと思う。言うなれば、書くことと話すことの間に無意識に立てていた厚い壁を取り去ってみようということ。
私は今まで、書くことと話すことの間に壁を立てて、意図的な苦手意識を作り出していた。それが、こうしてテストを受けたことで、余計に意識するようになったというより、「それも自分なんだ」と思えた。これは意外な効果だった。

そして、私はやっぱり人が好きだ。
そう言えるようになったのは、Twitterで私の書くつぶやきに共感してくれたり、私の文章が好きだと言ってくれる人がいたからだと思う。私は大げさではなく、その人たちのことを愛しいと思った。まだお会いしたことはないけれど、言葉だけでほんのちょっとでも誰かの心を動かすことが出来た喜びに、感動したのかもしれない。そしていつか、そういった愛しい人たちに、文章だけじゃなく、自分の口から出る言葉で何かを伝えられたらいいな、と思う。

少し真面目になりすぎちゃいましたね、すみません。でも。これが素直な気持ちです。
こうしてブログを始めるにあたっての決意表明みたいなものとして、書いてみました。
まだ見ぬ愛しい方達へ、少しでも私の言葉が届きますように。