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それから

ちょいと読んでかない?

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動揺して欲しかったーー男友達のこと

雑記

男友達に、ふざけてこんなメールを送った。
「デートしてください☆」
その男友達とは、今まで何回も二人きりで色んなところに出掛けていたし、こんなメッセージを送ったからといって、向こうが動揺することはないと私はわかっていた。
「いーよー」という、私の悪ふざけなど華麗に無視した短い返事が返ってくるものと思っていた。

ところが、返ってきたメールはこうだった。
「実は最近彼女が出来てさ」

私はそのメールを読んで、思いのほか動揺した。
ただ、一方で、そんな返事が返ってくるような気も微かにしていた。多分、私はメールをした時点で本能的にわかっていたのだ。もうそれは、本能としか言いようがなかった。大切な人を、失うという本能。
一瞬の強い動揺が去った後、私は妙に落ち着いた心持ちで、「そんな気がしていたんだ」とメールを返した。
「すごい勘だね」「勘だけは昔から良いんだ」
そして、私は、最近少し体調を崩していたけど、元気になったから君と遊びたくなって、と告げた。
「えー大丈夫なのー?」「大丈夫じゃないけど大丈夫。ありがとう」
それで終わりだった。
わたしはまた、本能的に思った。これでこの話は終わりだろう。男友達が、どんな病気だったか、とか、もうほんとに大丈夫なのか、とか、落ち着いたら遊びに行こうな、とかいう返事を返すことはないとわかった。彼の意識はこうしている今も、「彼女」の方にあるからだ。彼はそういう人だ。私は彼のそういうところが好きだったし、嫌いだった。

あれから彼とは連絡を取っていない。
その後を気遣うメールの一つも寄越さない。私は彼のそういうところが嫌いだ。私なら友達として近況を訊ねるだろうし、なんなら遅いお見舞いの一つもしに行く。そういうところがダメなんだよ。薄情もんが。

でもそれは、きっと、私だけなのだ。
彼にとって私は、その程度の人間だったってことなのだ。
私は彼のそういうところが嫌いだ。そしてたぶんずっと、私は彼にとっての「その程度の人間」から抜け出したいと思い続けていた。

デートしてくださいって私が言った時、私は君に動揺して欲しかった。
私は君が動揺してくれるのを、ずっと待っていた気がする。