読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

それから

ちょいと読んでかない?

当ブログの読者登録は↓

混じり気のない寂しさーー「アルペジオ」NICO Touches the Walls

Shout to the Walls!
Shout to the Walls!
posted with amazlet at 14.10.02
NICO Touches the Walls
KRE (2013-04-24)
売り上げランキング: 104,197

一番仲の良い同性の友人が、今年結婚した。そしてもうすぐその友人の結婚式がある。人生で初めて出席する結婚式。それがその友人のもので良かったと、心から思う。その思いに偽りは一切ない。それでも、私の頭の中にはある曲がずっと流れ続けている。まるで私のこの気持ちを代弁してくれているかのような曲。大好きなNICO Touches the Wallsの「アルペジオ」だ。彼らの5枚目のオリジナルアルバム、「Shout to the Walls!」に収録されている。

久しぶりの電話 君の声は今も
変わらないリズムで あの日が戻ってきたよ

初めて教わった ギターのFコード
夢鳴らしたベランダで 朝迎えたっけ?

君の世界は どんな景色だろう
見せてくれるかい?

背景で流れるひずんだギターの音色がなぜが心地よく、美しい曲だ。この曲はギターの古村氏が結婚する友達を思って書いたのだという。狭いベランダでギターをぎこちなくかき鳴らす若き日の古村氏の姿が浮かび上がってくる。

二人で弾いたアルペジオ今も 何も変わらないけど
少し寂しく響いたのはきっと ただの気のせいかな

若い頃の共同作業というのは、とても尊いものだ。古村氏と同年代の自分には、そのことがよく分かる。

私と件の友人は同じ専門学校で同じクラスに所属していた。私たちは実習でひとつの映画をともに作り上げた。実は、学生時代は私たちはそんなに仲が良いというわけではなかった。クラスメイトだったし、もちろん会話することはあったけれど、それでも二人で頻繁にどこかに出かけるような関係ではなかった。
それがどうしてだろう、卒業してから定期的に二人で遊ぶようになり、今では最も仲が良いといっても差し支えない間柄になっている(もっとも、そう思っているのは私だけかもしれないけれど、それはとりあえず置いておいて)。それは紛れもなく、あの専門学校時代に、同じ風景をカメラで切り取り、24コマで1秒のフィルムにまみれて生活していたからだと思う。その経験が、私たちを知らず知らずに結びつけているのだ。私は「アルペジオ」の歌詞を聴いた時、そう確信した。「アルペジオ」の二人も、ともに弾いたギターの音色に引き寄せられているに違いない。

そして、そんな二人の内の片方が、その若き日の共同作業よりも尊いもの(=結婚相手)を見つけた時、残された一方は言いようのない寂しさを感じる。それは今の私の心そのままを表している。

ひがみではない、それは寂しさだ。友人のことが好きであればあるほど、その幸せを羨ましく思う。そして寂しく思う。それは自分が満たされていない=私には結婚相手がまだいないからであろうか。いや、そうではない。絶対にそうではない。今まで彼女と積み上げてきた日々と、あの共同作業が、それを証明している。

この曲は混じり気のない寂しさの曲だ。友情という、人間に与えられた不可思議で愛しい関係性から生まれる寂しさ。古村氏は、NICOはそれを見事に表現してみせた。だから私はNICOの奏でる音楽を愛しているし、これからも愛し続けるだろうと思う。

この曲を、私の大好きな友人である貴方に、贈ります。