それから

ちょいと読んでかない?

わからない男は愛おしい

彼氏だと思ってた人が彼氏ではなかったみたいだ。
「つきあおう」と言われたのだけれどその1週間後ぐらいから音信不通になった。LINEは未読スルー。通話を鳴らしても一向に出ない。

脆弱な関係。
最初から身体目的だったのか、何か気に食わないことがあったのか、今となっては相手の本心を知る術もない。むしろ本心とかない気がする。こういうやつは夏目漱石が小説のタイトルにしたような「こころ」というものは持ち合わせてはいないんじゃないかと思う。

不思議と深く落ち込んだりはしなかった。なんとなく「ああ、またか」というような諦念が身体を包み込んだだけだった。ああ、また、やり直しか、と。

恋愛というものに、自分はとことん向いてないのかもしれない。それでいて、人一倍世間体を気にするから、タチが悪い。私は「愛がなんだ」の映画の主人公の気持ちが良くわかる。相手のことが瞬間風速的に好きすぎて、いっそ相手の男になってしまいたい。分からない男のことは、愛おしいのだ。

だけどそんなものも怪我が治るようにいつかは通り過ぎていく。いつもいつもその繰り返し。今年こそはと思って早35年。いい加減飽きたから、もうやめたいのに、やっぱりまだ愛にくらいついてしまう。いや、もはや愛だかわからないものに。人間って、とことん愚かだ。