それから

ちょいと読んでかない?

料理についての個人的な考察

 最近自炊をするようになった。ルーティンはこうだ。朝4時頃に起きては簡単なサラダとトーストに目玉焼きをのせたものなどを作って食べ、昼は飛ばして15時くらいから夕食をぼそぼそと作る。メニューはもちろん日によって変わるが、最近はハンバーグや肉じゃが、ちらし寿司などを作った。この1ヶ月で体重が3.5kg減った。

 ここ最近まで筋金入りの料理嫌いだった。なんといっても料理は工数が多いのが辛い。献立を考えて、広いスーパーで食材を探して買い、その食材を余さず上手く使い回しながら何日分かの料理をこなしていく。その料理ひとつひとつにも、食材を洗う、下処理、切る、焼く、煮る、味付け……など複数の工程があり、うつ病の自分にとってはそのような工程は果てしない罰ゲームでしかない。
 何より何十分も時間をかけて作っても、食べ始めてしまえば一瞬でなくなってしまうあの悲しみ。アートや小説、映画などの芸術作品は後世に残るのに、料理は後世には残らないその脆さ。どうしてもそこに無意味さを感じてしまって私は料理を好きになれなかった。

 今でも料理を好きかと言われるとまだその域には達していないと思う。休職中で節約のために始めたものだし、正直自分の料理が美味しいかと言われるとそんなに美味しくはない。昨日食べたインゲン豆はゴムみたいに固かった。
 ただ、自分なりの料理の楽しさみたいなものはやっていく内になんとなく見つかってきたように思う。
 ひとつは、「料理という作業をしている時に得られる快感がある」ということと、もうひとつは、「料理が後世に残すのは体そのものである」ということである。
 前者は今回ある程度根気強く料理を続けてみてわかったことである。料理をしていると、何もない「無」の状態から何かを作り出していると感じる瞬間が確かにあり、それは文章を書くようなクリエイティブな作業と少し似ているのかもしれない。後者は健康的に-3.5kg痩せたことからわかったことで、料理とは後世に残らないのではなく、体そのものを残すものだということに気づかされた。

「インゲンは先に下茹でしておくといいよ」と、母からLINEが来ていた。
 料理は奥が深いのである。