それから

ちょいと読んでかない?

茶色い座椅子ーーいま私にできること

こんな時、自分にできることは何もない、と思っていた。

 

私は医療従事者でもないし、運送業者でもコンビニやスーパーの店員でもない。ゴミ収集業者でもなく農業に従事しているわけでもない。仕事はクリエイティブ業界なので、有事の際に極論「不要」ともとれるものに携わっている(現在のたくさんのクリエイターたちの活動を否定しているわけでは決してないけれど、どうしたって芸術活動は直接的に命に関わるものではないことは確かだ)。

 

お金持ちでもないので、自分の生活に手一杯。だから寄付なんかもできない。私に出来ることと言えば、家にいて感染拡大に加担しないことだけ。もっとも大事である外出自粛を遂行しつつも、それ以外に出来ることがないので無力感は高まる。一人暮らしなので恐怖を共有する人もおらず、否応なしに孤独感も募る(東日本大震災の時も思ったけれど、意外とこの一人暮らしの有事の孤独感を取り上げるメディアは少ない)

 

ふと、外出自粛以外で自分にできることは何かと考えたら、もしかしたら今の自分の想いや生活の様子をこうして文章として残すことかもしれないと思った。

 

この世界の片隅に」で戦時中の人々の生活を垣間見られたのは、自分にとって印象深かった。あの漫画のすごいところは、戦争という有事の際にあっても、軍人ではない普通の人々の何気ない日常は続いていたのだと教えてくれたところにある。

 

コロナが収束して、何十年後かにこのパンデミックを振り返った時に、研究者でも医療従事者でもない一個人の自分の生活や想いの記録が存在していたら。それは貴重な財産となり得るのかもしれない。いささか、気の早い希望的な見方であることは認めるけれど。でも、そこから、何かが始まる気がするのだ。

 
だからこれから少しずつ、今の日常を綴っていこうと思う。とりあえず今言えるのは、テレワークのために買った座椅子が当たりだった。茶色くて可愛くてふわふわで最高。この座椅子がなければもう何もできません。こんな状況下でもネットで注文すれば数日後には品物がきちんと自宅に届くのに感動を覚える。座椅子を作ってくれた人、売ってくれたお店の人、配達してくれた人、すべての人に感謝を込めて。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に

この世界の片隅に

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