それから

ちょいと読んでかない?

床の色と前髪と天井

床の色を変えろ、と、村上春樹の「風の歌を聴け」のように言ってみる。最近、六畳一間の床の色を変えた。と言っても、賃貸なので「置くだけフロアタイル」なるものを敷き詰めただけである。だけであるが、冴えない茶色い床がホワイトオークの床になっただけ…

愛情を注ぐということーー「お家賃ですけど」能町みね子

この世には二種類の人間がいる。同じ場所に住み続けるのが好きな人間と、そうではない人間だ。私は明らかに前者の人間で、もうかれこれ今のマンションの部屋に住んで8年になる。いままで付き合ったどの男性よりも長い期間付き合っている。もうこの部屋と結婚…

誰かと一緒に暮らすことの尊さーー「結婚の奴」能町みね子

結婚の話は続く。能町みね子さんの「結婚の奴」を読んだ。とても面白かった。 出会ってから恋愛という名のお付き合いをして結婚に至る……。 そんな世間の「常識」に違和感を抱いているすべての人に読んでいただきたい一冊。結婚の奴作者:能町 みね子出版社/メ…

大人も悩みながら生きていく――「大人は泣かないと思っていた」

大人は泣かないと思っていた作者:寺地 はるな出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/07/26メディア: 単行本主人公は同年代・独身、舞台は私自身の地元九州の田舎町がモチーフということもあって非常に刺さりました。 この物語の舞台になっている架空の町「耳…

脆弱な未来

「デート(のようなもの)に誘われたんですけど、いざ誘われるとおしゃれとかするのがめんどくさいです。でも行った方が良いとは思うんですよ。なので背中を押してください」 と、とある男性にLINEを送ったら、 「なんかちょっと複雑です」 と言われた。「『…

生き残りしもの

半年に一度くらいのペースで、断捨離ブームが訪れる。 とにかく捨てる。なんでも捨てる。1K=キッチン2畳、居間兼寝室6畳の狭いこの我が城に詰め込まれた服、小物、本などの内、もうこの城の王たる私に見限られたものたちをどんどん粛清していく。この大…

姉と私のことーー【ブロガー連動企画】本をプレゼントした/されたエピソードについて

ふくろくんさん (id:Chachapo)がこんな記事を書かれていたので。 【ブロガー連動企画】本をプレゼントした/されたエピソードについて書こう! - 流線を描く煙 なんだか面白そうだな、と思い、私のエピソードを書いてみようと思います。 1.本の紹介 君はおり…

名もなき表情ーー「未来ちゃん」川島小鳥

未来ちゃんposted with amazlet at 14.01.11川島小鳥 ナナロク社 売り上げランキング: 28,383Amazon.co.jpで詳細を見るこの写真集の未来ちゃんが鼻水を垂らしている写真を「いとしい」と思える人とは、私、仲良くなれそうな気がします。田舎に暮らす小さな女…

「センセイの鞄」川上弘美

センセイの鞄 posted with amazlet at 14.01.01 川上 弘美 平凡社 売り上げランキング: 333,421 Amazon.co.jpで詳細を見る 実に良い。どれくらい良いかというと、こうやって感想を書いている時にも、ついつい川上弘美風の文体になってしまうくらい、良いので…

「雷の季節の終わりに」恒川光太郎

雷の季節の終わりに posted with amazlet at 13.12.25 恒川 光太郎 角川書店 売り上げランキング: 460,659 Amazon.co.jpで詳細を見る いやあ、もうね、圧倒的な世界観ですよ。言葉はそんなに多くないのに、どうしてこんなに引き込まれるんだろう。不思議。 …

「とにかくうちに帰ります」津村記久子

とにかくうちに帰ります posted with amazlet at 13.12.25 津村 記久子 新潮社 売り上げランキング: 212,749 Amazon.co.jpで詳細を見る なんてことないのに面白いわ、こりゃ。今、「なんてことないのに面白い」を書かせたら津村さんの右に出る人はいないよ。…