生き残りしもの
半年に一度くらいのペースで、断捨離ブームが訪れる。
とにかく捨てる。なんでも捨てる。1K=キッチン2畳、居間兼寝室6畳の狭いこの我が城に詰め込まれた服、小物、本などの内、もうこの城の王たる私に見限られたものたちをどんどん粛清していく。この大量消費社会に迎合どころか進んで参加した末路である。情けない。しかしまた、B'zの「LOVE PHANTOM」のサビを口ずさみながら部屋の床に何もない部分を増やしていく作業は、形容できない快感をもたらす。
ものの中には思い入れのあるものも存在する。特に本を愛する身としては、一度は本屋から連れ帰ってきて、小さな本棚にその場所を与えた一冊の本を、カタカナの「ブ」から始まる古本屋へ売り飛ばすのは忍びない。それでも我が城は非常に手狭ゆえ、いくらでも本たちを迎え入れるわけにはいかないのだ。だから小さな本棚に並べられた本たちは一定数を保っている。その中には、新顔も居れば、もう何年もそこに居続けている者もいる。後者は、断捨離の度に危機を乗り越え勝ち残ってきたツワモノである。私の心に残りしものたち。今回は、そんな生き残りしものたちをここに書き残す。
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実際には他にも何冊か置いてあるのだが、今回は何度も断捨離に耐えてきた本を書き残してみた。彼らは私の人生にずっと必要な存在だった。そうには違いないのだが、だからと言ってすべて何度も読み返したかといえば、そうでもない。それは人間関係にも少し似ていて、何十年も連絡を取り合う友人が、毎日一緒にいた相手かというとそうでもない。一方で、ある時期毎日のように連れ立って遊んでいた人間が、ある日を境にぱったりと合わなくなったというケースもある。あんなに仲が良かったのに。この関係が一生続くかと思ったのに。あれは何だったのだろう。まるで一瞬の花火のような、そんな関係。儚く消えてしまう関係。
人にも本にも、ある時が来たらそこから旅立たなければならない関係が存在している。別れは来るべくして来るものだし、間違いではない。人生にとって必要なものでもある。そして残ったもの、今関係を密にしているものも、いずれは私の元から去っていくかもしれないし、去っていかないかもしれない。
何も確かなものは存在しないのだなあ、と改めて知る。諸行無常。平家物語にも書いてあるし。
来年の今頃、私の本棚はどうなっているのだろう。そしてその時、そばには今はまだ見ぬ人がいたりするのだろうか。
この本たちは、とても愛しく儚い、私の今である。